第1回「塗装の仕事」

内保製材の家づくりは、スタッフや職人など、多くの「つくり手」により仕上がります。

そんなスタッフたちの「想い」をインタビュー形式でお届けします。

どんな気持ちで家づくりに向き合い、どんなことにこだわっているのか。

つくり手のまなざしを、どうぞ覗いてみてください。

内保製材では、外壁や床などの木材を自社塗装しています。一枚一枚、木の表情を見ながら、「どうしたらもっときれいに塗れるかな」と塗装作業を一人で担っている製材塗装の野村さん。今回は、その想いやこだわりを、広報川瀬がインタビューしてきました。

 

どのような板材を塗装していますか?

塗装しているのは、床材、外壁板、羽柄材や軒の天井などで、人にも環境にもやさしい、主に国産の自然塗料(天然オイル)を使用しています。木に染み込む浸透性塗料で表面に膜を作らず、木が呼吸できる状態を保ってくれるので、時を重ねるごとに味わいが増す“経年変化”を楽しめます。


▲製材工場の一角にある塗装作業場

塗装の一番の目的は、木を長く美しく保つことだと思っています。塗らなくても木の魅力は感じられますが、塗装することでその良さをより長く楽しむことができます。特に外壁など、雨風にさらされる場所では、塗装の効果は大きく発揮されます。


▲現在主に使用している自然塗料

また、使用する場所や目的などでも塗装を変えています。たとえば床などには、木の色を生かし、美しく見せる「クリア塗装」を。


▲クリア塗料をローラーに含ませて

生活していると手垢がついたり、素足で歩くことで汚れたり、食べこぼしなどもありますが、クリア塗装はそれらから木を保護してくれます。


▲木の色を生かすクリア塗料は外壁に使用することも

 

一番大切にしていることは?

塗装の仕事を始めて8年になりますが、今でも「これで本当にいいのかな」「満足してもらえてるかな」と、試行錯誤の毎日です。同じ種類の板でも、目の細かさや赤み・白み、きれいに染み込むものもあれば、そうでないものもあります。


▲色付き塗料はスポンジで

同じ作業を一日中続けることもあるので、集中力が切れそうになることも。でも、この材料は大工さんの加工など、たくさんの人の手を経て、自分のところに来たもの。ほぼ最終工程で手を抜くわけにはいかないと思っていて。責任は大きいですが、任せてもらえることがうれしいし、「次はもっときれいに仕上げられるかも」と思うから、飽きないし楽しいですね。


▲塗装を終えた木材は自然乾燥をするためラックへ

また、お客様にとって家は一生に一度の大きな買い物。だからこそ、できる限り丁寧に、見落としがないように。そんな気持ちで、11枚の板にしっかり向き合っています。たまに塗装前の材料の山を見て、果てしないな…と思うことはありますけど(笑)


▲並べて自然乾燥

 

塗装の仕事を選んだきっかけは?

ふと目にした「塗装スタッフ募集」の求人です。前職は家づくりとは全く違う仕事をしていたのですが、「ふくらの杜」には何度かイベントで訪れたことがあって。とても居心地のいい空間で、「いい家だなあ」と心に残っていたんです。だから、求人を見たときに「塗装の仕事がしたい」というよりも、「こんな家をつくる会社で働けたら素敵だな」と思いました。

面接では社長と伊藤さん(当時の製材リーダー)にお会いし、その後、製材工場を見学させてもらったのですが、そのとき伊藤さんが言われた「僕はこの仕事、いい仕事やと思ってます」という言葉が、今でも心に残っています。自分の仕事をそう言いきれる人って、なかなかいないと思うんです。その言葉に心を動かされ、入社を決めました。

塗装はまったくの未経験。何も知らないところからのスタートでした。材料が届くたびに、「これはこういう仕上げで」と前任の方や先輩たちに教えていただきながら、一つひとつ覚えていきました。

今では完成した家を見に行くと、「あ、これあの時塗ったものだな」と感じる瞬間があります。もちろん、目に見える部分もあれば、隠れてしまって分からないところもありますが、自分の手が加わった家が、お客様の暮らしの場になっていると思うと「ああ、よかったな」としみじみ思います。


▲試住モデルハウス響の杜

 

自社塗装 ― 手仕事のよさは?

一番の強みは、この部分は色が入りにくいなと思ったら、少し重ねて塗るなど、細かい調整ができることです。機械塗装のように均一で正確にとはいきませんが、手でしっかり塗れば、塗料のノリもよくなり、結果的に長持ちするんです。特に節まわりなんかは、さっと塗っただけでは色がのらないこともあるので、その加減ができるのも、手仕事だからこそですね。


▲複雑な形も手作業なら隅々まで

また、自社で塗装をしているので、例えば扉の外側と内側で色を変えたり、一部分だけ色分けして塗ったりとお客様の細やかなご要望にも柔軟に応えられます。「この場所はこの色に」「この塗料を使ってみたいけどできるかな」と思われていることがあれば一度聞いてみてください。お答えできることがあると思います。今回の記事を通して、塗装まで自社で手がけていることを知っていただき住まいへの愛着をより深めていただけたら嬉しく思います。


▲塗装前にはハケで木の屑をはらいます

 

塗装の魅力を一言で伝えると?

「木の美しさを引き立てる仕事」だと思っています。先輩の言葉ですが「お嫁に出すような気持ちで塗っている」と話されていて、本当にその通りだなと感じました。


▲お化粧をしたようにつややか。乾燥をすると木目が浮き立ち美しい仕上がりに

私自身も、仕上がった材料を見ながら「この子、もうそろそろお嫁に行くかな」と思うことがあります。それくらい、一つひとつに愛情を込めて向き合っています。完成した木の家を見て、居心地の良さや美しさを感じてもらえると嬉しいですね。

 

モノづくりが好きで、コツコツと手を動かす作業が得意な野村さん。

お気に入りのカバンには、数か月かけて少しずつ縫い上げた刺繍が施されています。

 

取材後記

仕上がった時には見えなくなる部分にも、一切手を抜かない。そのこだわりが、家全体の美しさと長く住み続けられる品質を支えているのだと感じました(広報企画:川瀨)

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