第2回「超低温乾燥機とモルダー機導入への想い」専務 川瀬文明

内保製材の家づくりは、スタッフや職人など、多くの「つくり手」により仕上がります。
そんなスタッフたちの「想い」をインタビュー形式でお届けします。
どんな気持ちで家づくりに向き合い、どんなことにこだわっているのか。
つくり手のまなざしを、どうぞ覗いてみてください。

一昨年、製材工場に導入した「超低温乾燥機」と「モルダー機」。製材業をさらに進化させるための新たな挑戦について、川瀬専務に熱い想いを聞きました。(取材・文/広報企画:髙山)
導入の背景
製材業だけでは地域材を活かしきれない――ずっと感じていたことでした。
滋賀県には使える木がたくさんあるのに、現状の天然乾燥だけでは十分な数をこなすのが難しい。しかも、乾燥した「製材製品」があっても、加工できなければ「建材製品」にはならない。
乾燥と加工、どちらも変えていく必要があると考え、超低温乾燥機とモルダー機を導入しました。
(製材工場に設置した超低温乾燥機)
超低温乾燥機とは
超低温乾燥機は、一般的な高温乾燥とは全く違います。
100℃以上で乾かす高温乾燥では、木の色艶や粘りが失われることが多く、使う場所をよく選ばないと早期に傷む恐れがあります。
そのため、内保製材では昔から天然乾燥や中温以下の乾燥材にこだわってきました。
(遠赤外線のため木材を乾燥中でも出入りができ、乾燥具合を確認できる)
今回導入した超低温乾燥機(私たちは人肌乾燥機と呼んでいます)は、約40℃で乾かします。
これは、真夏の外気温とほぼ同じ環境で、天然乾燥にとても近いと言えます。
遠赤外線で2週間かけて乾燥させることで、香りや色艶を残し、内部割れや炭化も防げる。
実際に乾かした木材に触れると、天然乾燥と変わらない香りが残っており、「これなら自信を持ってお客様に提供できる」と確信しました。
品質を保ちながら、生産サイクルを早められる――それが大きなメリットです。
モルダー機とは
従来のカンナ盤と呼ばれる機械では一面ずつ削って仕上げる必要がありましたが、この5軸モルダー機は一度に四面削り出し、製品として仕上げることができます。
溝や丸面取りなど加工のバリエーションも豊富。
(製材工場に設置した5軸モルダー機)
この機械を使って、まずはフェンス材やデッキ材を滋賀県産材で自社生産したいと考えています。
これまで九州から仕入れていた製品も、地元の木で作れる体制が整いました。
製材業と加工業は本来全く違う業種。「内保製材は新たな業種も始める!」そんな大きな挑戦だと思っています。
「びわ湖材」を使うということ
今回の挑戦で、地域材「びわ湖材」をもっと流通させたいとの強い想いがあります。
地域の山を豊かにしていくために、“使う”ことが大切です。
内保製材では、毎年「森林ツアー」を、森林組合さんや木材市場さんの協力のもと開催し、お客様と一緒に山の現状を学んでいます。
使えるのに使われない木、放置されている木も多い。
今回この事業でそうした木を無駄なく活かし、地域に還元できる仕組みが整ったと思っています。
(森林ツアーで木の伐採を見学【協力:伊香森林組合様】)
(伐採された木に触れる体験)
(自社製材工場で丸太の木取りを見学)
フェンス材やデッキ材といった外装材は、立派な木でなくても良い製品に仕上げることができます。
無塗装でも使えるもの、塗装した方がよいもの、死に節のある材などを適材適所で使い分け、太さにバラツキがあっても対応できる。
資源を無駄なく活かすためには、こうした仕組みも大切です。
今後は、自社施工にとどまらず、同業者様や外構業者様、一般のお客様への販売もしていきたいと考えています。
理念を共有できる仲間を増やし、地域材を活かした家づくりの価値を伝えていきたい。
将来的には、「この家は地元の木でできている」という愛着を持って暮らしてもらえる家が増えることを目指しています。
(幅の異なる木材を組合せ、表情豊かに仕上げた自社制作の縁側デッキ)
地域循環できる未来へ
実は、社長はさらにその先の循環も描いています。
モルダー機で加工すると大量のプレーナー屑が出ますが、それを原資に「ペレット燃料」を生産するという構想があります。
現在は、牛や馬の敷きわらとして引き取ってもらい、糞が肥料となって農家さんの野菜づくりに使われています。
新事業が軌道に乗ったら、自社の加工で出たプレーナー屑でペレットを作り、お客様の家で暖房用燃料として使っていただく。
“木を最後まで無駄にしない”地域循環の形が見えてきました。
(加工で出るプレーナー屑)
こうした挑戦は、新しい雇用や事業の可能性も生み出します。
小さな会社だからこそできる柔軟な挑戦で、地域材の活用を広げ、山と街、人がつながる循環をつくりたい。
その未来を想像するとワクワクします。
私たちの描く未来
家づくりを考える上で、耐震性や性能という価値に加え、環境にもやさしい地域の木材を使うことは、心豊かな暮らしに大切な「幸福感」のような満足も得られるものと考えます。
地域の木を使うことで、暮らしが地域を支える。
そんな応援経済への参加で、地域全体が良くなることを実感してもらえたら嬉しいですね。
内保製材で建ててくださった方は、知らず知らずのうちに地域貢献の輪に加わっていますので安心してください。
これからも私たちは、地域循環型の取り組みをさらに広げ、地域材を使った家づくりで循環型社会を実現する。
それが、私たちの描く子どもたちへ繋いでいく未来への挑戦です。
