冨樫国仁 自己紹介へ

家づくりのはじめの一歩は「いろはにほへと」

製材部の冨樫です。

若葉が益々、深い青葉へと変わっていく季節となってきましたが、皆様いかがお過ごしでしょうか?

青空が広がる日も多くなり、上棟シーズンともなってまいりました。

 

ところで皆様、家を建てる時、大工さんってどうやって柱を見分けてるの?って思ったことはありませんか?

本日は上棟時の「木に何が書いてあるの?」についてお話していきたいと思います。

 

そこで一つ。「番付」という言葉をご存じですか?

まず、「番付」と聞くと一番には大相撲の番付などが思い浮かぶのではないでしょうか?

好きな力士の番付、気になりますよね。

その他にも、ひと昔前には長者番付などもありましたね。

番付って、何かランキングや順位付けのように思ってしまいますが、この建築業界でも「番付」という言葉、実はおおいに使っていたりするんです。

意味合いは違うのですが、建造物を建てる際、建造物自身の場所を示す記号や座標みたいなもので、それぞれの材料に番付が記されています。

この番付があることで、上棟時に柱や桁梁をスムーズに間違えることなく組み合わせて、建物が完成していきます。

この番付ですが、横方向に『い・ろ・は・に・・・・』、縦方向に『1・2・3・4・・・・』となっており、基本的に平仮名と数字を用いて表しています。

 

この番付に記されている『い・ろ・は・に・・・』は、いろは歌のことなんです。

 

 いろはにほへと ちりぬるを 

 わかよたれそ つねならむ 

 うゐのおくやま けふこえて

 あさきゆめみし ゑひもせす

 

このいろは歌は、10世紀末から11世紀半ばのあいだに作られたといわれていて、「あいうえお・・・・」の仮名47文字をすべて一回ずつ使っている為、文字を覚える手習い歌とされているんですね。

そんないろは歌を大工さんが使用するのには、諸説あるようですが、あいうえお・・・より、歌としての「いろは歌」の方が覚えやすかったのかもしれませんね。

そんな材料に書かれた「番付」を見て、大工さんは上棟する時、家を組み上げていきます。

それが、「木に何が書いてあるの?」の答えです。

 

この長い「いろは歌」、なかなか最後まで覚えるのも大変ですが、実際の私たちの一戸建ての家で番付として使っているのは、「そ」位までが多いです。

その中で、現在建築中のT様邸では、「い」~「ゐ」までの番付がありました。

番付の最初の基点となるのが「いの1番」です。

図面で一番に柱を建てていく場所となります。

この「いの一番」って言葉、最近では使われなくなった言葉かもしれませんが、辞書で調べると「真っ先に」とか「最初に」と表されています。

この言葉、建築用語から生まれたとも言われています。

なにかそんなところにも日本伝統が引き継がれている感じがしますよね。

建築用語もいろいろとありますが、身近に聞く昔ながらの言葉も多くありますので、豆知識として今後もお伝えしていければと思っております。

 

 

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