【NEW】築100年 町家リノベーションで大人時間を味わう住まい~スタッフの自邸
滋賀県
注文住宅|リフォーム・リノベーション
築100年ほどの古民家を大規模リノベーション。細かく仕切られていた部屋の間仕切りを無くすことで、ひとつながりの大空間にしました。濃い茶色の柱や梁は、既存のもの。趣を残しながら暮らしやすく生まれ変わりました。
リビング側から見たダイニングとキッチン。平屋部分は勾配天井にすることで、空間に広がりが生まれました。一枚板のリビングテーブルでゆったりとした座の暮らしに。ダイニングは5人掛けの「りらくテーブル・りらくチェア」。
既存の鴨居などは残し、居室と縁側だった間取りをひとつながりに。襖を取り払うことで、暗かった室内が昼間も明るく気持ちよい空間になりました。
フルフラットのキッチンからはリビングダイニングなどぐるりと見渡すことができます。ふと目に入る中庭の緑にも心安らぐ暮らし。
念願だった薪ストーブを暮らしの真ん中に。機種はドブレ640WD。クラシックな佇まいと、大きなガラス面で炎を楽しめるところがお気に入り。
ペンダントライトはアトリエキーメン(Atelier Key-men)さんの「三日月」。座敷の丸窓とお揃いに。
ダイニングの一枚板の座卓。樹種はケヤキ。自社製材所にあるたくさんの一枚板の中から選びました。くの字型のアイアンの脚も特注で。長さは2メートルほどあり、大人数の集まりにも大活躍。
リビング側の漆喰壁(壁掛けテレビを設置)の背面にはストリート収納を。プライベートゾーンをうまく活かし、壁一面の収納をつくりました。計画段階で決めた収納ケースの大きさに合わせて棚を設計してもらったおかげで、ぴったりサイズに納まりました。メイン収納場所を決め、どこに何があるか家族誰でもわかりやすくなり暮らしがスッキリと!
ダイニングのペンダントライトは、飛松灯器(とびまつとうき)さんのWheel L/open。タイヤが横になったような形からWheel(ホイール)と名付けられたそう。空間をあたたかく演出してくれます。
リノベーションをしたことで間取りが大きく変わった部分の一つが座敷。8畳の既存の座敷を玄関だった場所へ移し、5畳に。再利用したかった「床柱・床板・欄間・天井板・襖」は解体時に大切に保管し、大工さんや建具職人さんの手仕事で見事に馴染みました。
違い棚を設け、季節に合わせた飾り物をする楽しみが増えました。
変型5畳とコンパクトな座敷ながら、違い棚や床の間などの奥行があることで少しゆったりと感じます。大工さんが丁寧に外してくださった既存の座敷天井板も、想像以上にしっくりと馴染みました。
くつろぎ空間とフラットでつながる座敷。以前は敷居など段差の多かった暮らしもバリアフリーで安心になりました。既存の欄間は、垂れ壁にして再利用。以前の住まいのお気に入りのものを取り入れられるのも、職人さんの技術力があるからこそできることです。
室内に入ると正面に見える丸窓。Atelier Key-men(アトリエキーメン)さんにデザインしていただいた銅製の「月」の窓飾りです。銅の一輪挿しもセットで制作いただき、季節の草花が暮らしを彩ります。
Atelier Key-men(アトリエキーメン)さんデザインの「月」の窓飾りの仕掛け。上の写真は、障子を裏面に引っ掛けたもの。下の写真は、座敷に屏風を置いた時などに障子を外すことでダイニング側から座敷が見えるようにしました。
対面式のフルフラットキッチンはタカラスタンダードのオフェリアを採用。幅は2740mm、奥行は1050mmとゆったりめ。ダイニングテーブルへの配膳も楽にできます。
扉のカラー(TXU6115CT74)はグレージュのような色味で、引き手のブロンズと似合い落ち着いた印象に。
食洗機はBOSCH(ボッシュ)の幅60㎝。フロントオープンの大容量で、家族一日分の食器をまとめ洗いができます。
キッチン背面の造作収納には存在感のあるタモの一枚板を天板に。窓上の手の届く高さにはオープンな棚板で、毎日使うコーヒー豆やお気に入りのものを飾ります。食器は引き出し式の収納に。奥はゴミ箱を置くスペース。
お気に入りのイナズマ階段。ギザギザのデザインがかっこよく、階段そのものがインテリアにも。スケルトンで光や視界を遮らず、階段下の一段下がりの書斎も開放感があります。
町家のつくりの特徴「間口は狭く、奥に長い」敷地の住まい。階段の吹き抜けをつくることで、南面からの貴重な明かりをしっかり取り込めるようになりました。
2階の奥には4畳ほどの書斎。大容量の本棚の真ん中をくり抜いたような部分から出入りする「大人の秘密基地」です。籠り感もありながら本棚の隙間から少し気配も感じることができ、完全な個室ではないつくりがお気に入り。
書斎の内側から見た様子。くぐるように入ってみると、自分だけの秘密基地空間。窓に面した机は、足を下ろして座れるつくりに。疲れたらゴロンと寝転んでくつろげる最高の居場所。
書斎に座ると秘密基地空間を存分に感じられます。窓の縦格子の隙間から町並みも見え、ホッと和みます。左の壁一面の棚には大好きな漫画を並べ、自分時間を満喫する暮らし。
通りに面した南の窓には、縦格子で目隠し。書斎の手前はオープンな寝室。格子の隙間から入る朝日が心地よい目覚めに。
床面積38㎡(11.5坪)ほどの2階部分は、全く間仕切りのないオープンなつくりに。既存の梁を現すことで天井高も取ることができました。100年ほど前の棟木を眺めながら、先祖の想いを残すことができた喜びも感じます。
壁一面のクローゼットは、洋服を見渡せることで毎日の服選びに困りません。衣替えの手間からも解放されました。
右側には来客用の布団を数組収納。出し入れを考え、扉も無くしました。
トイレは少しゆったりめの広さに。扉付きの収納には掃除用具、棚板の中にはトイレットペーパーのストックを少し。大き目の鏡は、来客の方が手洗いの際に身だしなみを確認するためにも使っていただけるといいなとの思いで設置しました。
トイレはTOTOの壁掛フローティングデザイン。床から浮いているので、普段の掃除がとても楽に。手洗い鉢は信楽焼、ペーパーホルダーはアトリエキーメン(Atelier Key-men)さん。
洗面はアイカのボウルとカウンターが一体となったすっきりデザイン。壁への立ち上がりもありお掃除も楽に。カウンターの前垂れを200mmにすることで、ボウルや配管が見えないようにしました。
鏡は大きな一枚もので、開くと後ろは大容量の収納に。タイルは名古屋モザイク 華窯ボーダーKB-M-71。
洗濯脱衣室の収納は、家族それぞれにタオルやパジャマなどを分けて仕舞えるようにしています。コンセントもあり、アイロンをかけることもでき便利。
浴室への出入り口は大判のタイル張りに。脱衣室の床を足触りの良いヒノキの板張りにしたかったため、水濡れに強いタイル張りを選びました。
中庭をぐるりと囲むようなつくりの住まいの奥に配置するのは、高齢の母の部屋。陽当たりも良く、四季の移ろいを感じながらゆったりとくつろぐことができます。
母の部屋には大容量のウォークインクローゼットも。コの字になったクローゼットには、たっぷり吊るして収納できます。
建物の一番奥には、畑に出られる勝手口。農作業用具を置いたり泥汚れなども想定し、土間部分を広く取りました。
既存の蔵は、元々は建物とつながっておらず不便を感じていました。リノベーションを機に、室内から行き来が出来るよう廊下で繋ぎ、雨の日や夜でもとても便利に。
玄関を入ると、大きな窓から中庭が見えます。もともとは座敷から中庭が見えるつくりだったものをリノベーションで玄関の位置を大きく変え、それに合わせて庭の植栽も整えました。
また、既存の玄関同様、畳敷きに。以前の暮らしの好きだったイメージをなるべく残した設えにしました。
来客は正面から出入りされ、家族はのれんの向こうの土間収納を通って出入り。玄関に靴が散らかることなく、いつもスッキリと。
玄関はいつもスッキリ保てるよう、家族が出入りする動線は来客とは分けるつくりにしました。玄関通り土間に格子戸を吊り、たっぷりの収納には家族みんなの靴が収まります。
引き違いの玄関格子戸。居室が直接見えないこともあり、透明ガラスにしスッキリと。玄関土間は洗い出し仕上げに。
外玄関と内玄関、二重にしました。通りに面していることもあり、奥に内玄関をつくることで落ち着きを持たせています。外玄関はガラスを入れず、その内側は半外空間に。
玄関まわりはアトリエキーメン(Atelier Key-men)さんの銅製ハンドメイド品で統一。格子戸をあたたかく照らす照明は、Simply Down(人感センサー)。ポストに入った「郵便」の文字はこだわりポイント。ローマ字の表札とインターホンカバーも合わせ、イメージ通りの雰囲気に仕上がりました。
また、玄関アプローチの踏み石は、既存の石によく似合う古材のものを譲り受け、しっくりと馴染み味わいのある玄関に。
縦格子の建具が町並みに似合う佇まい。二階の格子は通りからの目隠しにも。
3枚の格子戸を引き込むと、インナーガレージ。駐車スペースが少なかった悩みを解消した上に、頑丈な壁面を増やしたことで構造上も安心のつくりになりました。
外観の印象は、リノベーション前と大きく変わることのない設計に。
大きな松の木があった既存の中庭は、スッキリと。四季折々の彩りを愉しむコハウチワカエデやドウダンツツジ、ウメ、モミジなどを新たに植えました。
Beforeの内観。
届く光が少なく、昼間も暗かった室内。
Beforeの内観。
中庭を囲むようにぐるりと縁側がありました。窓は薄く、すきま風の入る冬の暮らしは、それぞれの部屋に暖房が必要でした。
築100年 町家リノベーションで大人時間を味わう住まい
築100年ほどの町家づくりのわが家は
中庭のある奥に長い敷地です。
その佇まいがとても好きだった私たち家族は、
趣きはそのままに、暮らしやすさと居心地の良さを求めて
リノベーションすることに決めました。
解体で現れた梁に「大正15年」の文字が見えたとき
私たち夫婦が住み継げることへの安堵と喜びを感じました。
細かく部屋が分かれ使いにくかった奥に長い間取りは
ひとつながりのゆったりとした大空間に。
冬寒く、すきま風の入る築100年の家は
しっかりと断熱と気密を施して安心できる暮らしになりました。
長年の夢だった母屋のリノベーション。
信頼できる仲間たちの技術があったからこそ
念願の木の家の暮らしが叶いました。
家族が集まる時間も、個々を愉しむ時間も
大切に穏やかに暮らしていきたい。
概要
所在地:滋賀県
竣工年月:2024年11月
1階床面積:159.83㎡
2階床面積:38.13㎡
延床面積:197.96㎡(約59.88坪)
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